アユタヤ/タイ世界遺産

ワット・プラ・マハタートの仏像

 スコータイ遺跡を十分に楽しんだ僕は、アユタヤに向かうことに決めました。 アユタヤは、タイバンコクからおよそ2時間程度で、 多くの観光客が気軽に訪れることのできるタイの世界遺産だと思います。 スコータイからはバスでおよそ7時間ほどで到着する事ができました。

 実は、アユタヤへのバスが停まるところは、 アユタヤの遺跡群からかなり離れていて、何か乗り物をチャーターする必要があります。 僕は何も知らなかったので、バス停留所の道を挟んで向かい側にあったスーパーマーケットで情報を集める事にしました。 スーパーマーケットのカスタマーサービスの方に道を伺ったところ、 たまたま周りにいた人が「ツーリストポリス」と言って、観光案内のボランティアをしている方でした。

 彼女は、「偶然そちらの方面に向かう用事が有るから」と、 旦那さんと一緒に無料で僕を送ってくださいました。 旦那さんは白人のフランス人の方で、 彼女は旦那さんに出会えたのも「この国の観光業があってこそ」だと、 ツーリストポリスのボランティアを始めたそうです。

 そしてご夫婦の優しさに何度も頭を下げた後、僕のアユタヤの旅が始まりました。

ワット・プラ・マハタート ワット・プラ・マハタート2
ワット・プラ・マハタートの遺跡です。

 ここの入り口付近で商売をしておられる方がたくさんいらっしゃいます。 多くの観光バスが止まるためいつも、たくさんの人がいます。 僕は、ここで日本人のための日本語の看板を目にしました。 アユタヤの世界遺産のいろいろな場所で同じ看板を目にしました。

 日本語で、「仏像の上に乗ったり、顔の無い仏像の上に顔を置いて写真を撮らないでください。」と書いてありました。 僕は日本人であるから、日本人がそんな事をするなんて信じられませんでした。そして、とても情けなく思いました。 恐らく、「ただの調子乗り」がやっているだけでしょうが、謝罪だけでは許されない行為だと思います。 それは、旅の途中タイの方がどれほど信心深いか僕は知っていたからでした。

ワット・プラ・マハタート3

 いつもタイの方はお寺の前に通りかかると、そっと手を合わせて目を閉じていました(ワイ)。 僕は、本当に彼らは「お寺を大事にしているんだな」と、いつも感じでいました。 そんなタイの方がとても大事にしている、ましてや世界遺産に登録されている遺跡を汚す様な行為をされたら、 タイの人達はいったいどう思うのでしょうか?

 その時、僕は以前チリ人の友達に言われた事を思い出しました。 「お前は知っているのか?チリのモアイ像に日本人が落書きをしたんだぞ。考えられるか? 俺はずっと日本人が大嫌いだったよ」。 僕たち日本人の多くはそんな事をする人だとは思えません。 極めてわずかの日本人がやっている行為だと言う事は理解できます。

 しかし、日本人が旅行先で出会う人にとってはどんな日本人でも日本人代表になります。 一部の人間が変な振る舞いをしている事によって、「日本人全体の評判を世界中で下げている」 と言う現状をみんなが理解して置かなければいけないと思います。 もうここに、来ないから別にいいではなく、次に訪れる日本人の事まで考えた行動をとる事が旅先では重要だと考えています。 僕達の子供が旅して世界を周った時に、世界中何処に行っても「日本人とは素晴しい民族だ」 と言ってもらえる様になったらなと思っています。

ワット・ラーチャブラナ ワット・ラーチャブラナ2
ワット・ラーチャブラナです。

 この遺跡は中に入り上に登ることが可能です。上に登ったら下に続く急角度な階段があり、 600年の歴史を持つ仏像画を見ることができます。 僕が行った時は、鳩がたくさん中に住んでいました。糞を落とされない様に注意してください。

ワット・ロカヤ・スター顔ワット・ロカヤ・スター足

 ワット・ロカヤ・スターというお寺さんに作られたそうですが残念ながら建物はもう無いです。
高さ5m、全長28mあり、80歳で入滅したブッダを表しているそうです。

ワット・プラ・シー・サンペット ワット・プラ・シー・サンペット2
ワット・プラ・シー・サンペットです。

 三つの塔からなっています。遺跡群の中心に位置しているので、この辺りを拠点に動けばレンタル自転車で効率良く 遺跡見学をすることができます。

タイと象

 タイには、多くの象がいます。そのほとんどは商用に使われていると言って良いでしょう。 僕はタイに訪れたら必ず象に乗ろうと決めていましたが、 旅の間にいろいろと話を伺った結果、タイ人の多くは象を商用に使うことに 反対をしている事を知りました。実はそれにはこんな理由が有りました。

 象は象使いによって、いろいろな芸を教えられます。 鉄の大きな釣り針のような物で、 象の耳を引っ掛けて引っ張り、象を無理やり操ります。 それは昔からある象使いの仕事なので、 見ていて辛いのですが仕方の無い事だと思いました。

 問題はここからです。タイは観光業で成り立っていると言って良い国です。 毎日世界中からたくさんの観光客が訪れています。そして、 その内の多くの観光客は「象に乗りたい」と思っていると思います。 したがって、「象を毎日働かせなければいけない」と言う無限ループが完成します。

 しかし、象も動物なので働きたくない日や、疲れがたまっている日もあるそうです。 そんな時に どうするのかと言うと、一部の象使いは象に「覚せい剤」を 打って働かせているそうです。 それによって、大人しいはずの象が突然暴れ出し人を襲う事件が起こっているのだそうです。

 また、子象を夜の街に連れて行き、「観光客にえさを買ってもらい、 そのえさを与える」と言うアトラクションも、 街の中にはたくさんあります。 しかしこの商売は、子象がお腹いっぱいになったら商売が成り立たないため、 彼らは「子象にえさを与えずに 街の中を連れて周る」という現状も少なくないようです。

 僕は「象に乗らないように」とは言いたくありません。 しかし、乗る時に大きなイバラの様な鉄の鎖を体中を巻きつけられ働かされている象達の 気持ちと、この国の現状を少し分かった上で乗って頂きたいと思いました。