スコールの後に
旅の間僕が恐れていたのは、そうです「午後に降る雨」です。
歩いて周る事も個人的には好きな僕ですが、良くスコールに打たれました。
ある日ベトナムで、スコールを逃れるために、現地の人数十名と小さな屋根のあるバス停留所で休んでいる時でした。
気が付くと、一緒に雨を逃れていた内の数名の子供達が僕をとり囲んでいました。僕はすぐに彼らは僕から何かを盗もうとしていると気が付きました。相手が子供なので簡単に何をしようとしているかは想像できました。
僕は気が付かない振りをして、どういった手口を使うか待っていました。
すると彼らの内の一人が僕のかばんに手をかけようとした時、僕の横にいた刺青だらけのおじさんが、その子の頭を「バチッ!!」と叩きました。
ベトナムでは様々な事件を目撃していたために、町中みんなが泥棒やスリをする人達だと思っていましたが、やはりそんな事はありませんでした。
僕はそっとそのおじさんに頭を下げた後、晴れ上がった心に旅の力を得たのでした。
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