タイと象
タイには、多くの象がいます。そのほとんどは商用に使われていると言って良いでしょう。僕はタイに訪れたら必ず象に乗ろうと決めていましたが、旅の間にいろいろと話を伺った結果、タイ人の多くは象を商用に使うことに反対をしている事を知りました。実はそれにはこんな理由が有りました。
象は象使いによって、いろいろな芸を教えられます。鉄の大きな釣り針のような物で、象の耳を引っ掛けて引っ張り、象を無理やり操ります。それは昔からある象使いの仕事なので、見ていて辛いのですが仕方の無い事だと思いました。
問題はここからです。タイは観光業で成り立っていると言って良い国です。毎日世界中からたくさんの観光客が訪れています。そして、その内の多くの観光客は「象に乗りたい」と思っていると思います。したがって、象を毎日働かせなければいけないと言う無限ループが完成します。
しかし、象も動物なので働きたくない日や、疲れがたまっている日もあるそうです。そんな時にどうするのかと言うと、一部の象使いは象に「覚せい剤」を打って働かせているそうです。それによって、大人しいはずの象が突然暴れ出し人を襲う事件が起こっているのだそうです。
また、子象を夜の街に連れて行き、「観光客にえさを買ってもらい、そのえさを与える」と言うアトラクションも、街の中にはたくさんあります。しかしこの商売は、子象がお腹いっぱいになったら商売が成り立たないため、彼らは子象にえさを与えずに街の中を連れて周るという現状も少なくないようです。
僕は「象に乗らないように」とは言いたくありません。しかし、乗る時に大きなイバラの様な鉄の鎖を体中を巻きつけられ働かされている象達の気持ちと、この国の現状を少し分かった上で乗って頂きたいと思いました。
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