世界遺産を守るために
世界遺産を旅すれば、目にするのは外国からの旅人や旅行客の姿ばかりでした。
少しマイナーな世界遺産には誰一人いない場合が多いのですが、
旅行雑誌やテレビなどで度々紹介されている場所では、
歩く場所を見つける事が難しいほど多くの外国から来た旅行客ばかりでした。
有名な世界遺産を持つ事は、
その国に莫大な外貨をもたらす事になり、
アジアの発展途上国諸国で暮らす人々にとっては、
世界遺産の有無が生死にすら関わってくるほど大事な事なのです。
僕はそんな世界遺産の片隅で、
大粒の汗を流しながら草刈、掃除や修復作業をする現地の人達を目にしました。
彼らは政府に雇われて働いているのですが、
炎天下の作業は決して楽な仕事では無いでしょう。
毎日、毎日、片付けても、片付けても、
無くなる事の無い観光客がばら撒く大量のゴミを片付けをしているのです。
僕は、ある日こんな光景も見ました。
それは、池の中に心無い人が捨てたであろう、
空き缶が1つ捨てられていたようでした。
それを見つけた掃除をしていた男性の一人は、
1つの空き缶のために上半身まで池に浸かりながら拾っていました。
世界遺産を守る事は彼らの収入につながり、
食事につながります。
僕は、現地の人々と世界遺産がお互いを助け合っているように思えてなりませんでした。
世界遺産に訪れれば、
「歴史的建築物や大自然の神秘に目を奪われてしまう」と思いますが、
本当のまぶしい現在の世界遺産は、
遺産を必死で守ろうとする現地の人々では無いでしょうか?
人は、まぶし過ぎて目の前の物が見えない事が有りますが、
この人達が流す汗の輝き強さは、
観光客にとって彼らを見えにくい物にしてしまっているのかも知れません。
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