アジアの歌姫
僕はアジアの旅に出ると決めた時に、最初の数日間はホテルを予約して行く事にしました。
それは、現地情報を全く持っていなかった僕はアジアを恐れていたからでした。
タイのバンコクに降り立った僕は自分のホテルを歩いて探し周り、
数時間後に見つけたホテルで一人の女性に出会いました。
彼女は、僕がバンコクで数泊したホテルの受付の女性で、
バンコクに入って詐欺に遭った僕に優しくいろいろと説明してくれたり、
観光などについてもたくさんアドバイスをくれました。
そんな彼女はホテルの受付の仕事をこなしながら、夜は小さな歌手に変わります。
毎朝5時に起きてホテルの仕事に付き、夕方の5時まで働きます。その後、ライブの依頼を
受けている日は夜遅くまで歌手としての仕事をこなすそうです。
アジア諸国の経済状況はあまり良く無いのが現実です。
そんな中、歌手になろうとする彼女は一人で田舎から出てきて仕事を見つけ、
経済的に厳しい実家に仕送りをしながら必死の毎日を送っています。
自分の力で親を支えて生活をしながら夢を追っているのです。
そんな毎日必死に夢と現実の間で立ち続ける彼女が将来スター歌手に成っても成れなくても、
僕の心に彼女の歌声が響かない日はありません。
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