人を守ること
タイでいつもお世話になる夫婦のお話です。
僕はいつもタイに行くとメーホンソンに訪れます。
それは、素晴らしい家族が住む家があるからです。
メーホンソンの町を彷徨い歩いている時に見つけた「一軒のゲストハウス」。
これが僕とこの一家との最初の出会いでした。
そこでは、優しい旦那さんのトントンさんと、毎日忙しい看護婦のジェーンさん。
それに娘のパンちゃんがいつでも僕を歓迎して下さいます。
僕とトントンが同い年だと言う事もあって、すぐに仲良くなった僕達はいろいろな事を
話すようになりました。「娘の将来」「自分の人生」「ゲストハウスの将来」など
数え切れません。その中から1つ僕の心に今も残る話があります。
二人の結婚の話です。
若い頃、トントンはバンドマンとして夜のナイトクラブでベース演奏をしていました。
そんなライブの最中に一人の女性に一目惚れします。それがジェーンです。
今は少し「ふっくら」として分からないのですが、当時の写真を見た僕は驚きました。
二人は驚くほどの美男美女だったのです!!
いつしか二人の美男美女カップルは、小さな町で有名なカップルになります。
しかし、二人が結婚するまでに大きな問題が起こります。
学校を卒業して、看護師としての仕事についたジェーンに多く過労が襲います。
小さな田舎町には多くの看護師はいないので、
24時間体制でいつでも呼び出されると病院に直行しなければいけません。
「36時間寝ないで仕事をして、自宅に戻った束の間に電話が鳴って病院に戻る。」
と言った過酷な状況も良くある事だそうです。
そんなある日、ジェーンの様子がおかしくなります。
日々の看護婦としてのストレスから食べる事を止められなくなったり、
一人塞ぎ込む日が多くなったそうです。
彼女は重い「自律神経失調症」になってしまったのです。
悪い時には手首を赤く染める事も少なくなかったそうです。
そんな時、トントンはいつもジェーンの傍にそっと立っていました。
彼は何も言わずにジェーンを遊びに連れ出したり、
笑わせたりと彼女を支え続けました。
そして、病気を抱えたままのジェーンにトントンはプロポーズをします。
数年後、子供のパンちゃんが生まれて家族は3人になりますが、
ジェーンの仕事の過酷さは今も続いているため、
病気の完治はとても難しいようです。
しかし、僕は知っています。ジェーンの病気がそれ以上悪化しない理由を。
毎日おいしい食事を作り、家事や子供の世話、そしてゲストハウスの切り盛りと、
トントンは「自分の生活全て」でジェーンを支えています。
愛はいつもどんな場所でも人を守る最強の武器なんですね。
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